
こんにちは!「切れ味ラボ」運営者のkuniです。
前回の記事「包丁研ぎ器の寿命を見極めるサインとお手入れのコツ」では、簡易シャープナーの寿命や限界サインについてお話ししました。
「そろそろ本格的な切れ味を手に入れたいけれど、砥石って難しそう…」と敬遠していませんか?
実は、40歳から包丁研ぎを始めた私自身も最初は同じでしたが、選び方のルールと研ぎ方のコツさえ覚えれば驚くほど簡単です。
今回は、初心者向けに「失敗しない包丁用砥石の選び方」と「絶対に成功する研ぎ方のコツ」を分かりやすく解説します!
数回練習すれば、トマトが吸い込まれるようにスパスパ切れる一生モノの切れ味がご自宅で手に入りますよ。
- シャープナーと砥石の切れ味持続時間の決定的な違い
- 初心者が最初に選ぶべき砥石の「番手」と種類
- 包丁を研ぐときの正しい角度と均等に研ぐ基本ステップ
- 砥石の寿命を大きく延ばす面直しとお手入れのコツ
包丁用砥石でおすすめは?初心者が失敗しない選び方
まずは、これから砥石を購入しようと考えている初心者の方に向けて、包丁用砥石の選び方を詳しくお伝えします。
シャープナーとの構造の違いや、揃えるべき砥石の硬さ(番手)を知ることで、失敗のないお買い物ができますよ。
初心者は包丁用砥石の中砥石(#1000)から選ぶべき理由
砥石の表面の細かさは「番手(#の後に続く数字)」で表されます。
数字が小さいほどザラザラしていて目が粗く、大きいほどツルツルしていて目が細かくなります。
初めて砥石を選ぶ際、あれこれ何種類も揃える必要はありません。
初心者が最初に手に入れるべきなのは、日常のメンテナンスに使う「中砥石(なかといし、#1000前後)」です。
中砥石は、刃先の摩耗を優しく整え、切れ味を新品同様に戻すために最も適した粗さを持っています。
刃が完全に欠けているような重症の包丁でなければ、中砥石が1丁あるだけで、普段の研ぎ作業はすべて完璧にカバーできますよ。
そのため、まずはこの#1000の中砥石を基準に探すのが、失敗しない最初のステップです。

家庭用におすすめのツヴィリング両面砥石
世の中にはたくさんの砥石メーカーがありますが、私が家庭用として本気でおすすめしたい砥石をご紹介します。
確かな品質と使いやすさで選ぶなら「ZWILLING」のツインシャープニングストーン
世界的な知名度を誇るツヴィリングの公式両面砥石(#250/#1000、または#1000/#2500)は、初心者でも均一に研ぎやすいよう、非常に頑丈な滑り止めゴム台座がセットになっています。包丁を研ぐ際に砥石がずれてしまうと刃先が丸くなり失敗の原因になりますが、この製品はしっかりと固定されて安全に作業できるため、最初の1丁として間違いのないベストな選択肢です。

砥石とシャープナーの切れ味の違い
「簡易シャープナーでお手軽に研ぐのと、砥石を使うのとでは、何がそんなに違うの?」と思われるかもしれません。
結論から言うと、刃先の仕上がりと切れ味の持続時間がまったく異なります。
簡易シャープナーは、回転する砥石の金属溝に刃先を無理やり押し当てて、刃先をノコギリの刃のように細かく「むしり取る」ことで、一時的な引っかかりを作って切れるように見せています。
そのため、研いだ直後は切れるように感じても、食材の硬さに負けて数日でまた切れなくなってしまいます。
一方、砥石による手研ぎは、刃先を適切な角度で薄く均一に研磨し、滑らかで鋭い理想的な「クサビ型」の刃先を作り出します。
これにより、食材の繊維を押し潰さずに美しく切り裂くことができるため、お刺身の角が立ち、玉ねぎを切っても目が痛くならなくなるのです。
包丁にかかる負担も最小限に抑えられるため、お気に入りの包丁自体の寿命も格段に延ばすことができますよ。

砥石の番手(荒砥・中砥・仕上砥)の役割
ここで、砥石の種類ごとの役割を整理しておきましょう。将来的に買い足す際の目安にしてくださいね。
・荒砥石(あらといし、#120〜#400):目が非常に荒く、包丁の刃が大きく欠けてしまったときの修復や、全体の形を大きく削り直すために使います。日常使いでは出番は少ないですが、いざという時の救世主です。
また、包丁に頑固なサビが発生してしまった場合、砥石で削る前に身近な「クエン酸」を使って綺麗にサビだけを落とす便利な方法もあります。詳しい手順は以下の関連記事を参考にしてください。
関連記事:「包丁のサビ取りをクエン酸で行う方法!黒ずみ対策と正しい手順」
・中砥石(なかといし、#1000〜#1200):最も使用頻度が高い、中間の荒さの砥石です。日常の切れ味低下を解消するための基本の砥石で、家庭用包丁のメンテナンスはこれ一本で十分完了します。
・仕上げ砥石(しあげといし、#3000〜#8000):中砥石で研いだ後に使い、刃先をさらに極細に整えるための目の細かい砥石です。研ぎ跡の微細な傷を消し去ることで、鏡のように美しい刃先に仕上げ、切れ味の持続力を極限まで高めます。
料理のクオリティを上げたい方や、お刺身を最高の舌触りに仕上げたい方は、いずれ仕上げ砥石を導入すると料理の世界が変わりますよ。
初心者に圧倒的におすすめの両面砥石のメリット
「中砥石だけでなく、やっぱり仕上げ砥石による究極の切れ味も気になるな…」
そんな初心者に心からおすすめしたいのが、表と裏で異なる番手が貼り合わされている「両面砥石(コンビ砥石)」です。
例えば、片面が「#1000(中砥)」で、ひっくり返すと「#3000(仕上砥)」になっているような製品です。
これであれば、1丁分の予算と収納スペースで、日常のしっかりとした刃付けから、鋭さを極める仕上げ研ぎまで、自宅で完璧に行うことができます。
マンションの狭いキッチンでも場所を取らず、お手軽に本格的な道具ケアができるため、家庭用としては圧倒的にコスパが良い選択肢になります。

一般的な包丁なら中砥石や両面砥石から選びやすいですが、KISEKI包丁を使っている、または購入予定がある場合は、公式の専用ダイヤモンド砥石も候補に入ります。
初心者でも失敗しない包丁用砥石を使った正しい研ぎ方
ここからは、実際に砥石を使って包丁を自宅で研ぐ手順とお手入れ方法について、プロの技をわかりやすく噛み砕いて解説します。
基本のステップを守り、最後のお手入れを丁寧に行うことで、砥石も包丁も驚くほど長く愛用できますよ。
砥石に水を十分に含ませる準備手順
研ぎ始める前に、最も大切な下準備があります。それは「砥石にたっぷり水を含ませること」です。
まず、ボウルやバケツなどに水を張り、砥石を丸ごとドボンと水の中に浸します。
しばらくすると、砥石の表面からプクプクと空気の泡が湧き上がってきます。
この気泡が出なくなるまで、約10分〜15分間しっかりと放置して水を含ませてください。
水分が不足した状態で包丁を研いでしまうと、研いでいる最中の摩擦熱で包丁の金属(鋼やステンレス)が劣化してしまいます。
また、削りかすがすぐに目詰まりを起こして研げなくなるため、水浸しにするステップは絶対にサボらないでくださいね。

砥石に対して包丁を15度の角度にキープするコツ
手研ぎで初心者が一番つまづきやすいのが、「研ぐ時の包丁の角度を維持すること」です。
理想的な角度は、砥石の面に対して包丁の峰(背の部分)を約15度持ち上げた状態です。
これだけだと分かりにくいですが、身近なもので例えると「包丁の背の下に、10円玉がちょうど2枚入るくらいの隙間」と覚えておきましょう。
この角度を、包丁を手前から奥へ動かす間、常に一定にキープし続けることが最大の成功のコツです。
角度がブレてグラグラしてしまうと、せっかく削った刃先を自分で丸めてしまい、いつまで経っても切れ味が戻らなくなってしまいます。
最初はスピードを気にせず、ゆっくりと角度を確認しながら、手の感覚を覚え込ませて動かしてくださいね。

刃先にバリが出るまで均等に研ぐ方法
角度をキープしたら、いよいよ刃先を動かして研いでいきます。
包丁の根元から刃先にかけて、大きく3つのエリア(アゴ側・中央・切っ先側)に分割し、順番に研いでいくと均等に研ぎやすくなります。
右手でしっかりと柄を握り、左手の指先2本で研ぎたい刃先を砥石に軽く押し当てて、手前と奥にシュッ、シュッと一定のストロークでスライドさせます。
しばらく研いでいくと、刃先の反対側に「バリ(金属の反り返り・ザラザラした引っかかり)」が指の腹で触って分かるようになります。
このバリが出たことこそが、「刃先がしっかりと中心まで研ぎきれた」という決定的な証拠です。
片面全体にバリが出たら、包丁をひっくり返して反対の面も同様に研ぎ、再度バリを出します。
両面にしっかりとバリが出たら、最後にそのバリを落とします。砥石の表面に包丁を寝かせるように軽くあて、刃先を引くように数回優しく擦ることでバリが取れ、スパスパと切れる感動的な刃先が完成します。

使用後の砥石の陰干し方法とお手入れ
包丁がきれいに研げたら、使った砥石のメンテナンスも忘れずに行いましょう。
研ぎ終わった直後の砥石の表面には、削り落ちた細かな金属粉や、砥石の泥がびっしりと付着しています。
これをそのまま放置すると、次回使うときに目詰まりを起こしてまったく研げなくなったり、カビの温床になってしまいます。
使用後はすぐに、水道の流水で表面の泥や汚れをきれいにタワシや手で洗い流してください。
その後、水分をしっかりと切り、風通しの良い日陰で時間をかけて自然乾燥させます。
「早く乾かしたいから」と、直射日光に当てて天日干ししたり、ドライヤーの温風を当てたりすることは絶対に避けてください。
急激な乾燥は砥石に大きな歪みを生み、内部からひび割れて粉々に砕けてしまう原因になります。
凹んだ砥石を平らに戻す面直しのやり方
砥石は使っていくうちに、必ず「中央部分」ばかりが削れて緩やかに凹んでいきます。
真ん中が凹んだ(お盆のように湾曲した)砥石のままで包丁を研ごうとすると、平らな刃先を正しく当てることができなくなります。
どれだけ長い時間をかけて角度をキープして研いでも、刃先が丸くなり切れ味が戻らなくなってしまいます。
そこで必ず必要になるのが、砥石の表面を完全に平らに削り戻す「面直し(めんなおし)」という作業です。
月に1回程度、または砥石の凹みが気になったタイミングで、水をかけながら「面直し専用の砥石(ブロック状のもの)」を凹んだ砥石に押し当て、ゴシゴシと擦り合わせて表面を平らになるまで削り平らな状態を維持します。
少し手間に思えるメンテナンスですが、この面直しさえしっかりと行っていれば、1丁の砥石を10年以上にわたって現役で使い続けることができますよ。

なお、プロの料理人にも愛用される伝統的な「堺打刃物」の公式団体である、堺刃物商工業協同組合連合会のコラム「包丁の正しい研ぎ方・お手入れ方法(外部リンク)」でも、砥石を使った基本の研ぎ方が詳しく解説されています。さらに詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
包丁用砥石に関するよくある質問(FAQ)
まとめ:初心者こそ包丁用砥石でおすすめの切れ味を体験しよう
砥石で研ぐ作業は、一見難しそうに見えますが、実際にやってみると包丁がどんどん鋭くなっていく楽しさがあります。
週末にゆっくりとお気に入りの包丁を研ぎ、道具に愛情を注ぐ時間は、とても贅沢な大人の趣味になりますよ。
ぜひ、信頼できるツヴィリングの砥石を手に入れて、毎日の料理が軽やかで楽しくなる極上の切れ味を体験してみてくださいね!良い包丁を長く使い続けたい場合は、KISEKI包丁まとめ|評判・価格・購入前の確認ポイントも参考になります。

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